イソフタル酸 (Isophthalic Acid) の価格は、2025年第2四半期において、原材料費の上昇、ポリエステルおよびコーティングセクターからの堅調な下流需要、そして工場のメンテナンスや生産能力の制約による供給不足を背景に、世界の主要市場全体で上昇傾向にあります。この化学物質はPET樹脂、高性能コーティング、不飽和ポリエステル樹脂（UPR）の製造において重要な役割を果たすため、原料価格やエネルギー価格の変動は、その市場価値に直接影響を与える傾向があります。

アジア：上流の不安定さと供給逼迫が価格上昇を牽引

アジア、特に中国、インド、韓国では、イソフタル酸の価格が2025年4月初旬にFOBトン当たり1,320～1,400ドルに急騰しました。この価格上昇は、原料となるキシレンとベンゼンの価格上昇と、東アジアの主要施設のメンテナンス停止による生産制限が相まって発生しています。

中国の生産者は、生産コストの高騰と環境コンプライアンス上の課題を理由に、生産能力を縮小している。一方、インドの輸入業者は、国際価格の上昇と現地在庫の減少を反映して、CIF価格が1kgあたり115～122ルピーに上昇しているのを目の当たりにしている。

「PET樹脂メーカーとコーティングメーカーからの需要は堅調です」とムンバイに拠点を置く輸入業者は述べた。「輸送費が依然として不安定なため、サプライヤーはより高い価格を提示しています。」

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欧州：エネルギーコストとUPR需要による燃料価格上昇

欧州では、 UPR（不飽和ポリエステル樹脂）および耐腐食コーティングメーカーからの需要が堅調に推移し、イソフタル酸の価格が1トンあたり1,380～1,450ユーロまで上昇しています。また、この地域の化学メーカーはエネルギーコストの高騰と輸入量の不足にも悩まされており、これが国内価格をさらに押し上げています。

ドイツとイタリアの市場では、特に粉体塗料や自動車用仕上げ材に使用される特殊グレードのイソフタル酸において、契約価格の上昇が見られます。ドイツのある塗料会社の調達責任者は、「原材料価格の高騰によりコストが上昇しており、価格交渉が頻繁に行われている」と述べています。

北米：供給バランスと価格上昇圧力

北米では、ペットボトル、塗料、樹脂業界からの堅調な需要に支えられ、イソフタル酸価格は1トンあたり1,350～1,420ドルの範囲で堅調に推移しています。国内供給は依然として十分ですが、世界的な価格上昇傾向がスポット市場に反映されています。

米国では、夏季の飲料消費と包装需要の増加によりPET樹脂の需要が増加しており、イソフタル酸の消費も堅調に推移しています。一部のバイヤーは、原料費や輸送費のさらなる上昇に備えるため、長期契約の締結を検討しています。

中東・ラテンアメリカ：輸入は需要を支えているが、コストは上昇

中東やラテンアメリカなどの地域では、イソフタル酸の価格が世界水準に沿って上昇しています。UAE、サウジアラビア、ブラジル、メキシコといった輸入依存度の高い市場では、輸送費の高騰と船舶の供給不足により、 CIF価格が1トンあたり1,400～1,480ドルとなっています。

これらの地域の販売業者はアジアやヨーロッパから大量の貨物を確保しているが、リードタイムの​​長期化と港の混雑により、買い手は予想されるさらなる価格上昇に備えて在庫を積み増す必要に迫られている。

市場見通し：価格は2025年半ばまで堅調に推移する見込み

業界アナリストは、イソフタル酸の価格が2025年第2四半期から第3四半期にかけて高止まりすると予想しています。PET、コーティング、建設関連樹脂の需要は安定すると予想されますが、原料のベンゼンとキシレンのコストは緩和の兆しがほとんど見られません。

市場参加者は、特に地政学的出来事によって世界の貿易ルートが混乱したり、主要な生産拠点で計画外の停止が発生したりした場合には、継続的なコスト変動に備える必要があります。

結論

イソフタル酸の価格は、上流原料価格の高騰、生産量の抑制、そして複数の最終用途セクターにおける旺盛な需要により、世界的に上昇しています。買い手は、リスクを軽減するために、長期契約を確保し、市場動向を注意深く監視することをお勧めします。市場は依然として逼迫しており、需要は引き続き増加しているため、価格は2025年半ばまで高止まりする可能性が高いでしょう。

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